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畢竟独自の見解

アンドゥムルメステール入門!まずはこれから!

え~~皆さんこんばんは。

今日は、「アンドゥムルメステール入門!まずはこれから!」と題しまして、安藤馨先生の論文や本を読みたい、でも難しそうだなあ、何から読めばいいのかなあというような全国8000万の悩める子羊たちに、不肖わたくしが男一匹立ち上がったというわけです。

 

それでは、さっそく始めましょう。

 

まず、安藤先生の文章にスムーズに入門するには、安藤先生の思想的立場をある程度踏まえておかなければいけないでしょう。たとえば、功利主義、物理主義、規範的排除的法実証主義、道徳実在論、外在主義、態度的快楽説、etc...

 

とりわけ、安藤先生よりバキバキな功利主義者は今日本ではいないと思うので、みなさんはこれから「功利主義者といえば?」という質問に対しては、ベンサム、ミルというありきたりな回答ではなく、「安藤馨先生!」と元気よく答えましょうね。

 

話がそれましたが、安藤先生のある種なじみのない立場を知るには、『法哲学法哲学の対話』に収録されている米村幸太郎先生の「少し離れたところからの眺め――≪異世界通信≫としての対話」から入るのがよいでしょう。

 

法哲学と法哲学の対話

法哲学と法哲学の対話

 

 

もっとも、これだけでは足りないので、RATIO(6)所収の安藤馨「あなたは『生の計算』ができるか?--市民的徳と統治」がわかりやすく、かつ明確に安藤先生の立場を表しているでしょう(もっとも、脚注になると本気モードになっているので、最初は脚注は読まない方がよいかもしれない)。 

ラチオ06号

ラチオ06号

 

 読みたくなると思うので、冒頭の文章を引用します。

「人の生命は地球よりも重い」とは巷間よく言われるところではあるが、耳にするたびに「でもひょっとすると木星よりは軽いのではないか」といった問いを思わず発しそうになる。或いは、「地球の全体には人が含まれるのだからもし人の生命が地球上の人体と同一の時空間に位置するのであれば『地球よりも重い』は意味をなさないのではあるまいか」とか「人の生命の重さというのは生きている時の人体の重さから死んだときの人体の重さを差し引けば宜しいのですか」といった、相手を怒らせそうな疑問がつい口をついて出そうになるし、実際出たことがある(そしてなるほど確かに相手は腹を立てるのだが)。しかし、これらの問いとそれに対する人々の反応は重要な意味を持っている。というのも、「重さ」が文字通り「質量」として受け取られた時にそれを不適切なものとみなすとはいえ、比喩的にないし類比的に用いられた際に「重さ」は明らかに比較可能でかつ集計可能な何事かを指し示すために用いられるからである。…

 どうだろう、読みたくなったんではないでしょうか。

あと比較的読みやすくかつ安藤先生の立場が分かりやすいのは、「幸福・福利・効用」や「功利主義からサンデルまでの長い話」、「アーキテクチュアと自由」、「功利主義と人権」、「統治と監視の幸福な関係」あたりでしょうか。これらのうち2つくらい適当に読むと良いでしょう(たぶん)。

 

自然主義入門やメタ倫理学入門、分析哲学入門などで入門しまくっておくのもいいですが、並行して、もしくはむしろ先に、論文を読み始めるほうが(研究者またはその卵のようなプロではない)我々にとっては楽しくなってくるのでよいと思います。

 

上のような(安藤先生の文章の中では)簡単な部類に入ると思われるものを読んだら次は、読みやすさ中レベル(わたし調べ)の論文に入っていきましょう。

わたしが独断と偏見で分類した読みやすさ中レベルの論文は以下の通りです。

「統治理論としての功利主義」/「応報主義と帰結主義の相剋」 

功利主義の逆襲

功利主義の逆襲

 

 「世代間正義における価値と当為」 

グローバル化のなかの政治 (岩波講座 現代 第4巻)

グローバル化のなかの政治 (岩波講座 現代 第4巻)

 

「租税と刑罰の境界史――法の諸モデルとその契機」 

現代租税法講座 第1巻 理論・歴史

現代租税法講座 第1巻 理論・歴史

 

 「功利主義者の立法理論」 

立法学のフロンティア〈1〉立法学の哲学的再編

立法学のフロンティア〈1〉立法学の哲学的再編

 

 「法と危険と責任と」/「団体が、そして団体のみが」/「最高ですか?」

正直今書いていて「急にレベルあがっちゃったな」と思いました。でも大丈夫、大丈夫です。なぜならおもしろいので。

このなかでわたしが好きなのは、「そぜけい」、「ととと」とかですかね。

 

これらを読み、いよいよアンドゥムルメステールの一員となった君たちは、ついに読みやすさ上級レベル(わたし調べ)へと突入していくのがよいでしょう。

「制度とその規範的正当化」

「現代法概念論の諸相」

「規範的談話の意味論」

「メタ倫理学と法概念論」

帰結主義と『もしみんながそれをしたらどうなるか』」

「現代自由意志論の諸相」

「集団的行為主体と集団的利益」

「『規範と法命題』-行方を訊ねて」

「道徳的特殊主義についての短い覚書」

等々です。「いや、タイトル急にかっこよくなり杉内…」と思いましたか?わたしは思いました。

このなかでわたしの好きなのは、「せいきは」「だんいみ」とかですかね。

 

 

まあ、ここまで滔々と適当に書いてきましたが、ぶっちゃけ結局のところアンドゥムルメステールの聖書こと『統治と功利』を最初から読み始めてもいいと思います。 

統治と功利

統治と功利

 

 

さあ、これを読んだあなたも、今日から安藤馨先生ライフをレッツエンジョイ!!!!!最大多数の最大幸福を目指そう!!!

 

~FIN~